wpmaster/ 2月 10, 2019/ 障がい者就業支援

知的障害者の正社員雇用は、まだまだ遅れているのが実情です。ただ、知的障害者の雇用や福祉を支援するための土台となる法律はすでに作られていることはご存知でしょうか。
代表的なのは、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)です。
第一条には、以下のようにあります。
『この法律は、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)と相まって、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。』
そして、近年の日本では、やっとこの法律にならった知的障害者のための雇用促進が、具体的に進み始めています。徐々にではありますが、知的障害者が正社員として就職・転職できる環境が広がりつつあるのです。

そもそも知的障害者の定義はあるのか?

あまり知られていませんが、知的障害者の法律による定義規定は存在しません。一般的に言われる知的障害者とは、次のような特徴を持っている人のことを指します。『18歳未満までに、知能機能の障害があらわれ、認知能力に同年代の平均的水準と比べて遅れがあることが特徴。また知能指数(IQ)によって、軽度・中程度・重度・最重要の4つに分けられる。』
(参考:「LITALICOワークス」https://works.litalico.jp/interview/case/intellectual_disability/)
このような特徴があるため、知的障害を抱えている人は、抱えていない人に比べると採用においてはどうしても不利になってしまいがちです。ただし、近年は知的障害者を正社員として雇用する企業が増えてきています。雇用するだけでなく、職場環境や業務内容についても、知的障害者が長く働けるように配慮している企業も多くあります。では知的障害者が正社員になるには、具体的にどのように就職・転職活動を進めていくべきなのでしょうか。

知的障害者が正社員に就職・転職 3つのポイント

○自分の障害や能力に合った職業を見つける
ひとくちに知的障害といっても、障害のレベルや能力の範囲は人によって差があります。まずは、自分がどの程度の業務なら安定的にこなせるかを把握することが重要です。「黙々とこなす単純作業が良い」、「室内にこもって細かい作業をするのは苦手」など、人にとって様々だと思います。自分だけで考えず、家族や就労支援の担当者などに積極的に相談することも必要です。

○就職・転職の成功事例を参考にする
ネット上には、知的障害を抱えている人が実際に就職・転職に成功した事例が載ったサイトがいくつかあります。こうしたサイトを参考にすることには、以下のようなメリットがあります。
・自分に合った業種や職種を絞りやすくなる
・同じような人がいることで不安や疑問を解消できる
・効率的に就職・転職活動を進めるための参考になる
また、知的障害者のコミュニティに参加するなどして、情報をもらうことも良い方法です。

○障害者に特化した求人サイトを活用する
求人を探す際は、障害者の求人に特化した求人サイトを活用しましょう。
サイトにもよりますが、障害別に、個人に合った求人を紹介してくれたり働き方についての相談を受けてくれたりすることもあるため、有効に活用すれば心強い味方になるはずです。また、掲載されている企業は障害に理解のある企業が多いことも、利用をおすすめする理由の1つです。

知的障害者雇用の将来性

高齢化や人口減少が進む中、知的障害者雇用の将来性は明るいと考えられます。知的障害者に限らず、身体障害者や精神障害者などあらゆる人が、貴重な労働資源として期待されているためです。また国や自治体、企業、団体など様々なところが、知的障害者についての理解を深める研修や講演を開いていることもその理由です。こうした活動が広がることは、知的障害者への偏見が減ることにもつながり、より働きやすい職場環境が作られていくはずだからです。